英国出身で、エジンバラ大学卒業。スイスのバーゼル大学で学位取得後、2011年に東京大学工学系研究科で博士研究員として来日。日本の学術英文校正の会社でシニア・エディターを経て2017年より現職。
普段どんなお仕事をしていますか?
「普段している仕事」はあまりないです。これがURAの特徴かもしれません。大型プロジェクトや学生支援の資金獲得に関わるときもありますが、現在は、分野横断的な教育事業の運営支援や海外大学との連携構築の支援がメインです。予算管理、活動進捗状況の把握、報告書作成、海外大学や大使館の教職員とのやり取り、シンポジウム企画・開催、授業まで、幅広く大学の業務に関わっており、毎日新たなチャレンジに向き合っています。
URAになろうと思ったきっかけは何ですか?
小さい頃から日本人のペンフレンドと手紙を交換して、いつかに日本に住みたいと思っていました。2011年にポスドクとして来日しましたが、研究より、研究について書くことや、研究者を支援することのほうに向いていると気づきました。URAになる前に日本の学術英文校正の会社で働いていましたが、せっかく勉強した日本語を活かしながら、日本の研究者をもっと全般的に支援できる仕事をしたくなって、URAのポジションに応募してみました。
やりがいを感じるときはどういうときですか?
私の支援を通じて、学生や若手研究者の視点が変わって、グローバルな研究者としての成長を目のあたりにするときや、研究者同士を紹介して新たな連携や共同研究プロジェクトが生まれるときにやりがいを感じています。
URAの業務で一番苦労したことは何ですか?どのように乗り越えましたか?
一番苦労しているのが補助金執行のルールを理解することです。「○○に予算を使っていいですか?」と聞かれると(場合によって)何百ページの日本語のルールブックに回答を探すことは本当に辛いです。年々経験を積んで、ルールを覚えるようになったり、日本語の能力を磨いて読むスピードを上げていこうとしたりしていますが、最も重要なのは経験がある、ルールに詳しい同僚や経理担当と仲良くして、いつでも相談ができる雰囲気を作ることだと思います。
仕事で大切にしていることは何ですか?
URAの仕事は人と人、また人と新しい考え方や経験をつなぐことだと思います。自分が当たり前と思っているが相手が初めて聞くアイディアを共有し合うときに、相手の考え方に対して柔軟な態度が必要です。そういう態度を取るように、いろいろな経験をしてからURAになることが大切だと思います。また、URAになってからも、新しい課題に積極的に挑戦して、自分の経験、自分が支援できる範囲を広げようとする意欲も重要だと思います。
今後挑戦したいことは何ですか?
2018年より、INORMSという国際的URAネットワークの国際大会のプログラム委員として努めてきました。2021年5月に初のアジア開催、初のオンライン開催となったINORMS大会を無事に開催できました。大会後は、RA協議会がINORMS執行部役を2年間担うことになりました。その執行部役の4人体制の一人として、日本の優秀なURAの皆様の魅力を世界の研究支援従事者に発信することが私の次の大きな目標です。
最後に、今URA職を考えている人に一言
いろいろなバックグラウンドを持っている方がURAになると、今まで考えたことがない場面にも研究者への支援を拡大することが可能となります。みんなで日本の研究力向上に貢献しませんか?ぜひURA職にチャレンジしてみてください!
典型的な1日の行動
- 09:00
- 出勤して業務開始。メールを読んで、簡単に解決できるのに返信。打ち合わせの資料を印刷。
- 10:00
- 教育事業の担当教員と今年度の予算計画案について相談。
- 11:00
- 経理担当と先生の考え方をどのように実現できるかを検討。
- 11:30
- 学務担当に予算打ち合わせについて報告して、プログラム内容に関する課題について相談。
- 12:00
- 昼休み。キャンパスを散歩してから、一人で静かにお弁当を食べる。
- 12:45
- 業務再開。メールを読んで、別のプロジェクトの予算執行について質問を受けて、経理担当と相談。対応が難しそうなので、本部に問い合わせてもらう。
- 13:30
- 広報担当にたまたま会って、教育事業の広報パンフレットについて相談。
- 14:30
- 同僚が作成した提案書を読んで、コメントする。
- 16:00
- 担当している授業の試験問題を検討。学生からの問い合わせに対応しようとするが、そのため英語の文法の勉強が必要なので、明日に後回しにする。
- 17:30
- 補助金プロジェクトの報告書作成、イベント開催、学生のリポート評価の業務がこの時期にやっと落ち着いたので、頑張って定時に退勤。